MEMORY -The FirstProduce- 第十二話




ランクCの壁。

一年という期間内には、トップアイドルという夢はかなえられそうになかったけれど、それでも順調に人気は上がり、仕事もうまくいっていた。
未来の可能性を信じていられた。

ランクCアップをかけたそのオーディションでの、あの敗北までは。


そこからあとは、本当にひどいものだった。

正確なところはオリジナルのビデオテープが消失したため分からないけれど、27万人あたりまで増えたファンが、23万人台まで減少するくらいには、悲惨なくらい、連敗し続けた。

なんとかランクCに上がろうとむきになり、一かバチかでレベルの高いオーディションを受け、イメージレベルの低さからまったく勝負にならず、流れを切り替えようとメールブースト(全イメージ大幅アップ)で受けた安全圏のオーディションすら、21点であえなく敗退。
(当時はオンラインユーザーがまだまだ多かったので、対人戦での負けも相当数に昇った)


「また不合格なの……。ごめんね。こんなはずじゃなかったんだけど……」

美希の「ごめんね」が心に突き刺さる。
謝るのはプロデューサーの方である。

最後の最後で、駄目さ加減が露出した。
美希の才能を生かし切れず、未熟なPは右往左往するばかり。

当時の悔しさ、いたたまれなさは生半可なものではなかった。



空回りし続け、最悪の流れの中、一年の終わりを迎える。
そして、最後に選んだコミュは...


「ある日の風景」や「ミーティング」などがあれば、それを選んでいただろう。
けれど、このとき表示された選択可能コミュは、いかにも仕事系のコミュばかりだった。

一年の最後に選ぶコミュだったから、思い出に残りそうなものにしたかった。
リセットすることも考えたのだが、それをやったら、全部がダメになる気がして、渋々、ある中から適当に、選んだ。

いざはじまってみると、それは、美希の夢についてのコミュニケーションだった。



「プロデューサーさん。夢っ!」
「美希の成長。それが俺の夢だけど」
「プロデューサーさんのじゃなくて、ミキの夢! それをね、考えて欲しいの」







次回、ラストライブ。


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